4月23日(土)高田馬場JET ROBOTにて行われた、「三国詩 ~ポエトリースラム頂上決戦~」プレイベントの第一部、トークセッションのレポート第3弾!
今回は、「ポエトリースラム」の日本における歴史を振り返ります。
左からURAOCB、大島健夫、さいとういんこ、中内こもる、石渡紀美
URA「お話のなかに出てきた“かっこいいスラム”という言葉が重要なキーワードになるような気がします。その前にポエトリースラムという詩の朗読の競技会の歴史について、ご存じない方もいらっしゃると思うので、少しご説明します。
まずは詩の朗読の競技会、バトルと聞いて、一番思い浮かべる人が多いのではないかというのが『詩のボクシング』ではないでしょうか。リングの中央にマイクが置かれていて、1対1で戦う対戦形式でした。開始当初は著名な詩人を迎えた試合が中心でしたが、やがて全国から参加者を募るトーナメント形式に変わっていきました。
私は当時まだポエトリーリーディングを始めていませんでしたが、テレビで詩のボクシングを知って、こういう表現方法があるんだと驚いたことを記憶しています。
大島さんは実際に詩のボクシングに出られていましたよね。」
大島「僕は一番初めに詩の朗読をしたのが詩のボクシングでした。僕はシャーマン・アレクシーという小説家が好きなんですが、その人がアメリカの詩の競技会に出ていてすごく強いということを知りまして、日本にもそういう大会がないのかなと思って探していたところ、詩のボクシングに行き当たったという感じです。1回だけ出場するつもりが・・・」
さいとう「そこから沼に(笑)」
大島「沼ですね、ズブズブとはまりました(笑)」
URA「石渡さんは詩のボクシングが開催されていた頃は、すでに詩の朗読を始められていたと思うのですが。」
石渡「一応耳にはしていたんですけど、当時の私は詩の朗読で勝ち負けをつけるなんてできないじゃないかと思って、実はスラム反対派だったんです。で、今でこそスラムは勝ち負けを決めるものというよりはそういう形式を取っているだけで、勝負という要素を加えるだけで詩の朗読がおもしろくなるということが体感としてわかってしまったので、反対していませんけど(笑)
当時は、詩のボクシングや後でお話に出ると思いますが、SSWS(シンジュク・スポークン・ワーズ・スラム)には縁がなかったんですよね。もっともSSWSが始まったのが2003年で、ちょうど子どもが生まれた年なので、夜のイベントはまったく行かなくなってしまったということもあります。
それから年数がたって、フランスに行ってポエトリースラムの世界大会を知って帰ってきた村田活彦さんが、ポエトリースラムジャパンを始めると聞いて、初めは手伝う気はなかったのですが、内容を聞くうちにスタッフとして関わることにしました。
で、実際に優勝者が出て、出場者の悲喜こもごもを見ているうちに、“おもしろそう”と思うようになり、3度目の大会に出るわってスタッフはやめて出場したのが始まりです。2016年かな。」
URA「今、お話に出たSSWSが一番初めに行われたのが新宿のライブハウスMARZでしたね。その主催者がさいとういんこさん。その後、横浜、京都などでもスポークンワーズスラムがありましたよね。」
さいとう「私、思いつき大臣なんですよ。そもそもはMARZの店長さんに何かやりませんかと聞かれたのが初めだったのですが、その何年か前に上野の水上音楽堂で開催したウエノ・ポエトリカン・ジャム(UPJ)が一段落して、それは巨大なオープンマイクイベントだったんですけど、次に何やろうかなってなったときに、ラッパーと詩人が刺激し合えるようなトーナメント形式のイベントを思いついたんですね。
私は元々音楽活動をしていたのでラップも好きで、B-BOY PARKなどのイベントに行ったりしていました。当時のラップシーンはうまい子はうまいけど、一応韻とか踏んでても、何を言ったらいいのかわかんない子も多かったんじゃないかと思うんですよね。一方、詩人の方は、内容は深かったり面白かったりするんだけど、パフォーマンスとして未熟、わかりやすくいうとかっこ悪いケースが多かったんですよ。
その両者が対戦でぶつかることで、けっこうおもしろいことになって。一見まったく違うジャンルで交わらなさそうかなと思ったら、そうでもなくて、そこには言葉を聴く時間があったっていうか。司会をラッパーのATOMに任せたのもよかったと思います。」
URA「今、MCバトルに出ているようなラッパーも出ていたとか?」
さいとう「KEN THE 390とか当時大学生で。あと今、話しながら思い出したんですけど、私、当時、若いアーティストに自分のクリエイティビティでお金をもらうっていう体験をしてほしかったんです。なので、入場料のキープと足りないと自腹切って賞金も出しましたよ。一番高いときは30万とか。
なんでそんな大金を出したかっていうと、SSWSを始める少し前にニューヨークのオープンマイクとかを見に行ったりしてたんですよ。30万あれば、そういう本場のおもしろいイベントとかも見に行けるじゃない? って。あとCD作ったりとか。
そのためにカンパって言ったら変だけど、若いアーティストが何か未来に産み出せるようにっていうのもあって、賞金もえいっと出しました。お金もらえると思うと、人もくるんですよね(笑)」
URA「当時はラッパーも今みたいなMCバトルとかないし、作品を発表する場も限られていましたよね。だからSSWSはそういう場として受け入れられたんだと思います。新宿だけでなく、横浜とか京都でも派生してスポークンワーズスラムが催されていました。
逆に、詩人がラッパー勢から受ける影響もあったんでしょうか。」
さいとう「一番笑ったのは詩人がフードかぶって出てきたときです。そこじゃないだろうって(笑)」
中内「影響受けすぎ(笑)」
さいとう「ほんとに面白かったですよー、特に最初の2年間は。審査委員には音楽ライターの古川さんとか詩人の筏丸けいこさんとか、不公平にならないようにして。」
URA「SSWSは2012年で終了します。最後のグランドチャンピオントーナメントで優勝したのがMOROHAでした。
詩のボクシングも全国規模の大会は行われなくなり、朗読の競技会は数年間開催されていない状態が続いていました。そんな中、2015年から『ポエトリースラムジャパン(以下PSJ)』という新しい協議会が始まります。
中内さんはポエトリーリーディングを始められたのはPSJがきっかけだったとお聞きしていいます」
中内「名古屋にいたときに放送作家をしていた関係で、ネタ探しでポエトリースラムジャパンをみつけたんですね。“たぶんやべぇやついっぱいいるんだろうな”と、取材のつもりで名古屋の予選大会に出場してみたんです。
結果として優勝してしまって、自分が一番やべぇやつになってしまいました(笑)」
さいとう「そこから沼に」
中内「たぶんそこで負けていたら、続けていなかったかもしれません。勝ってフランスまで行って世界規模の大会があるってことを知れたのは大きいですね。すごいな、ポエトリーリーディングって。
フランスだとあちこちでオープンマイクやってたりしますし、こういう文化があるってことに触れられたのは今でも続けていることにつながっていると思います。
演劇を20年続けていましたが海外に行けたことなんて一回もなかったんで、詩の朗読でパリまで行けたっていうのはいい経験でした。」
URA「PSJやその後のKSJは単なる詩の競技会ではなく、全国大会で優勝するとフランスで行われるポエトリースラムのワールドカップに出場権が得られることで、世界と直結している点が大きな特徴だと思います。
大島さんと中内さんは実際に現地の方に、石渡さんはオンラインで世界大会に出場されて、3人とも世界を体験したという共通点がありますが、その体験をどう今回の三国詩で新しいスラムをやるにあたって還元していくのかっていうのが今回のイベントの肝になると思っています。」
5/28のイベントでは、日本のポエトリースラムに深く関わってきたさいとういんこ、URAOCBによるMCで、初めての方にも「スラムの楽しみ方」をわかりやすくお届けします!
【次回】ポエトリースラム世界大会はとにかく熱い! Coming soon...
「三国詩 ~ポエトリースラム頂上決戦~」
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5月28日(土)二子玉川 GEMINI Theater
開場 18:00 開演 19:00
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<出演>
中内こもる 石渡紀美 大島健夫
*審査員
山﨑広子 文月悠光 じゃんぽ~る西
*MC
さいとういんこ URAOCB
<料金> 全席自由(全て+1ドリンク)
一般前売 3,000円 一般当日 3,500円
小中学生:保護者同伴で無料(人数限定)
高校生 1,000円 大学・専門学校生 2,000円(前売・当日共通料金)
※高校生/大学・専門学校生は当日受付にて要証明書提示
<ご予約・お問い合わせ> 二子玉川 GEMINI Theater
Web予約フォーム:https://3slammersproject.amebaownd.com/posts/34230123?categoryIds=6067375
電話:03-6431-0261(14:00〜23:00)
Mail:geminitheater.jp@gmail.com
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主催 一般社団法人アート・エデュケーション・スクエア
<会場>
二子玉川 GEMINI Theater(世田谷区玉川3-20-11-B1)
■ 東急田園都市線 二子玉川駅下車 徒歩5分
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